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1. I Was Swimming To The Shore And Heard This
 

個人的なことですが、ある日、夢で私は空から海に落下して、海面に浮かぶと頭上の太陽の方からシンセの音が降り注いでいました。それがあまりにもいい音だったので、夢の記憶をできる限り鮮明に音で再現しようと最初に試みたのがこのトラックでした。夢を音源化することをサポートメンバーの佐藤くん(Sountrive)は面白がってくれて、聴いた人が追体験した感覚になるようにと、この曲には彼が得意とするバイノーラル・ミックス(3Dオーディオ)が施されています。

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2. Flower In The Dark

2018年頃から起こった様々な出会いや出来事が、この曲を作ることに繋がっていきました。夢と現実の間の白昼夢のような曲。「人は死後どこへいくんだろう?」と思うとぜんぜんわかりませんが、姿や形が見えなくても、本当は一緒にいるんだと強く信じることでやわらかい希望に触れられる気がする。そういう気持ちを表現しようとした曲です。歌や様々な音色が自分の中の鮮明な感情と強く結びつくことを目指して制作していました。

3. Mist

歌詞にフランス語・日本語・英語が混在するこの曲も「別れ」がテーマにあり、後半部分からは悲しみがスリルとして昇華されるイメージで制作していました。下降するコードと上昇するメロディの原型やそのバリエーションは、2017年頃にモチーフができていたけど、前半と後半の対照的な2つの曲調をどうやって共存させるかが課題でした。二部構成の曲の展開部分がいちばんのチャレンジでした。

4. It’s So Natural ft. AAAMYYY

2020年に、アルバムの予定外で自由に作っていたドラムンベースのトラックがありました。その頃ちょうど1997年に発売されたRPGのゲームにハマっていて、そのBGMからも影響を受けていました。音として作りたいものが明確になってからは、ハウリングしそうなかんじの高域をあえて汚しとして目立つように出していくことにこだわりました。「暗闇の中にいるのはなんて自然なことなんだろう」という歌詞をリフレインしていますが、AAAMYYYが日本語詞と歌唱で参加してくれたおかげで、思っていたよりも外に向いた曲になりました。

5. Spider Dancing (Album edit)  

MVやシリーズの様々なアートワーク・ビデオを手がけてくれたSaou Tanakaと知り合うきっかけになった曲。このアルバムのジャケットのミステリアスな生き物は、この「Spider Dancing」のMVの主人公でもあります。「Spider Dancing」は原始的に音楽を讃えまくるフェス賛歌で、ミュージックビデオが持っているストーリーが曲のメッセージの部分をブーストしてくれました。アルバムでは、ラストにもう一つ階段をのぼるような展開を作りました。

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6. Demo CD-R From The Dead

インスト楽曲。これもM-1と同じく夢の追体験を目指した曲ではありましたが、その夢の内容はくだらないものでした。タイトルの通り、死人からのデモCD-R。家のベランダのプランターに突如として埋まっていた変死体のジーンズのポケットからCD-Rがぽろっと落ちて、再生してみるとシューゲイザーバンドのデモらしき音源が流れてくるという狂ったものでした。ただその音源があまりにも良い感じ。夢の中で捜査に来てた刑事さんに頼んでCD-Rを2回再生してもらった、その音源です。 (2018年にBlock FMのYouTube企画で、その夢のことを語っていました。CDの発見方法の記憶について曖昧な部分がありますが、暇な方はどうぞ!

7. 5AM

祖母の死のあと、弟(作詞)と一緒に書いた曲。現実と穏やかに向き合いたいと思っていた時期にPCからこの曲のデモ音源を再発掘して、完成像が見えました。歌詞中に「安心したいから 湖に飛び込んだ だけど水の音が そこは僕の居場所じゃないと言っている」とあって、「湖」や「水」というワードがよく登場するのですが、それに応える形で水の音のサンプリングなどを後から足しました。メディテーションポップソングと呼称しています。

 

8. Kids On The Stage

M1、M6に続き、夢の追体験ソングです。夢の中で大人が脚本・演出とかやって仕切っている子どものミュージカルの公演を見に来ていて、内容がひどくつまらないのでイライラしはじめたところでステージにいる子どもたちがこの曲を歌い出しました。ピアノの伴奏に不思議なメロディだなぁなどと思いながら思わず聴き入りました。それを空気感も含めて、できる限り鮮明に再現したのがこの音源です。子どもたちの声は、実際は自分の声を重ねてピッチ補正など駆使して録音しました。

 

9.  Broken Radio

次曲「Show Me How」へ続くインタールードです。夢での次元が壊れて現実に引き戻されていくようなイメージ。どうやってこの音を作ったかは思い出せない。録った時は、シンセにお気に入りの空間系エフェクトをかましていじっていました。偶発的にできた音でした。

 

10.  Show Me How (Album edit)

「Show Me How」はこのアルバムを本格的に作り始めるよりも少し前にできた曲で、アルバムにとってどういう存在になっていくのかが最後までわかりませんでした。しかし、すべての曲が揃ったとき、初めて鏡で姿を確認したような状態になって、そこからミックスだけを調整すればいいと確信しました。シングル版との対比としては、微々たるものですが、後半が特に変わって聴こえるかも。この曲順で10曲目に置くことに意味があったと思います。

 

11. Lucid Dreaming

アルバムのタイトル曲。この曲の内容のことは今どうやって話せばいいかわからないんだよね。。。そのうちいつか。

 

12. System

この曲を作っていたとき、世界全体に強烈な時間が流れていて、得体のしれない不安感とか社会構造のバグ、個人レベルの固定観念、ぜんぶを、私たちに組み込まれた「システム」として同列に並べながらたくさん考え事をしていました。その頃にRyanとの数回のデモ音源のやりとりで音楽的な化学反応を作れたことは、私の中で固まりつつあった自分の中のシステムが愉快に崩壊した瞬間でした。


 

13. Nagaretari

アルバム制作中、宮沢賢治の本をたくさん読み漁っていた時期があって、中でも「ながれたり」という詩に影響を受けました。それは、語弊を恐れずに言うと、川の流れが時の流れとシンクロしているような、人の生と死を水で表現したような詩でした。この曲では、その詩を読んで感じた言葉にならない何かを、自分なりに音で表現できたかなあと思います。楽曲全体に使っているパッドのような声のサンプルは、「Zenbu Dreaming」のボーカルを逆再生にしたものです。

 

14. Zenbu Dreaming

①Maika Loubtéとしての活動を始めてから、自分の中で日本語の歌は封印していたような気がします。理由は特にありません。この曲の原型は17歳のときにできていたけど、長い間、納得のいく形にするスキルが伴いませんでした。10年以上経っても、少なくとも自分にとっては訴えてくる何かがあったのですべてを再構築して形にしないといけないと思いました。歌詞は、主観的で、切実な言葉だけを選びました。

②バスに人がたくさん乗ってきて。ふと思いました。そこにいる人が生まれた背景に、父母や祖父母や先祖が、一体どれくらいの数の人間がいたんだろう。そう思ったら目まいがしました。家族構成や家庭環境の話ではなく、性別の話でもなく、ただ、人間の営みとして恋や愛や性があった末に、いきなり人間が生まれて人生が開始するというひとつの事実が、その構造、一体なに?という疑問でした。どうしてそれが当たり前なの? 私には、当たり前とは思えないのです。人生って誰が作るものなの? 私たちの自由は、どこにあるの?どうでもいいですかね? 全部、本当は夢で全てが自由自在なんじゃないかと思えるときがあって、 I wonderです。

 

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